「非自然」が「自然」になるための反復練習

「再生する気」で聴く!の記事で以前、齋藤孝先生の講演のお話をご説明しましたが、
引き続き、『声に出して読みたい日本語』の講演からの学びについてお話します。

すこしおさらいをしますと、

「人の話を聞けたということは、
要点をふまえて、再生できるということである」

相手が言ったことを、要点を踏まえて繰り返すことができないのであれば、
「聞いた」とは言えない。

しかし、私たちは、人の話を聞く時に、
相手が言っていることをあとから再生(復唱)させられるとは
思っていないので、「再生する気では聞いていない」
だから、聞くということは、「再生する気できく」ことが大事。

また、聞いていない!と相手を責めがちだけれど、
実は、聞いたかどうか、確認しない話し手にも、大いに問題あり。

「あとから確認するよ」と最初に言っておけば、
聴く姿勢もちがってくるのである。

そして、「聞いた話の要点を抽出する能力を養う」ために、
「話し言葉を頭の中にメモする」という習慣大切。

これは方法として2つ。

ひとつは、実際に紙にメモする・・・記録する
もうひとつは、聞いたこと(メモしたこと)を復唱する・・・記憶させる

コミュニケーションに大切なこと。それは、
「書いたことと、言ったことだけが残る」
ということを踏まえてのぞむことである。

というお話でした。

こういったことは、くり返しくり返しの反復練習が重要。

「量をこなさなければ質の向上はない」
ということを予告?!しながら記事をを終えましたので、
今日は、「量をこなさなければ質の向上はない」というお話からです。

「技」といわれるものになるまでには、一万回繰り返さなければならない。
「非自然を繰り返すと、自然になる」

つまり、始めはうまくいかなくても、
あるいはこんなこと意味があるのだろうか?と
思いながらも、教えてもらった通りにやってみると、
繰り返して練習するうちに、それが身について自然になる、ということです。

最初から質を求めることに無理があるのであって、
量をこなしながら、質を高めることになるのですね。

齋藤先生が「音読」を推奨なさったのもその考えからなのです。

「音読は記憶の定着が深い」

子どもの場合、国語に限らず、理科や社会でも有効だそうです。
大人であれば、初心者もトップレベルの人もする。

これが「型」である。

こんな話をしてくださいました。

齋藤先生は、小学生の高学年に、夏目漱石の「坊ちゃん」を
口写し(先生が読んだところを生とが繰り返し読む)というやり方で、
1冊読ませるそうです。音読です。

何と!6時間かかるとのこと。

この、一見意味があるのか?と思うような行動が
子どもたちに何を起こすことになるのか。

読み終えた6時間後に、子どもたちに感想を聞くと
「すこぶる面白かった」
などという感想が出てくるそうです。

「すこぶる」
という言葉は、もちろん、小学生がそうそう知っている言葉ではありません。

なぜ?

「坊ちゃん」に何度も出てくるからです。

きっと最初は、「すこぶる」って、どういう意味?と思っているでしょう。

しかし、子どもたちは、
訳もわからないまま、音読を繰り返すことによって、
それまでまったく知らなかった言葉を
言葉とともに、意味を知り、使い方まで身につけるのです。

反復練習することの意義がここにあるのですね。

「学ぶ」の語源は「まねる」であるということはよく聞く話。
同時に、「誰かの話をそっくりそのまま言う」という意味でもあるそうです。

何かを身につけるということは繰り返し繰り返しが大切。

その繰り返しがあるからこそ、体で覚えて、意識しなくても
それが行動できる所まで行きつくのです。

私は、ビジネスマナーをお伝えする機会が多いのですが、
齋藤先生からお聞きしたお話は、まったく同感です。

意識して、繰り返し行動して、身につける。
そして、そこに、その行動の意味をあわせて覚える。

こうすることによって、真の意味で、
ビジネスに大切なマナーが身に付き、
ビジネスシーンで役に立つものになる、と思います。

たとえば、その意味がわからないことでもいい。
しかし、「よい」といわれること、
「大切だ」といわれることを身につけて行動していると、
必ず、その意味や意義がわかってくるものです。

ということは、
「よい」といわれること、「大切だ」といわれることを素直に実践する気持ちが
あらゆるものを身に着け、自分が成長できる基本なのだろうと、
齋藤先生のお話から実感します。

子どもたちのように、
訳もわからず「坊ちゃん」を6時間音読する素直さは、
もしかすると私たち大人にはないのかもしれませんが、
その分、意味や意義をきちんと踏まえて取り組むようにすれば、
身につけて行動できるのであると考えます。

しかし。。。

本当に身につけるまでには、1万回。

気の遠くなるような話ではありますが、
何事も、意識しなくても行動でき、身について財産になるまでには、
意識して、意識してこれでもか!というほどに繰り返すことなのだと、
あらためて思うのです。

その先に、きっとホスピタリティ(心からのおもてなし)も存在するのでしょう。

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